「美しい賃貸住宅」。
この表現に違和感を覚える人は多いだろう。
そもそも賃貸住宅は「仕方なく」「かりそめに」住むところであって、「美しさ」など誰も求めていないと考える人は多い。
だがしかし、美味しいものを食べて、素敵なものを身に着けている人々が、美しい居住空間を求めないはずがない。賃貸住宅においても自分の気に入るようにさまざまに装飾を施して、InstagrmやRoomclipなどのSNSに写真を投稿していることから明らかである。
帰するところ問題は、美しい賃貸住宅が十分に供給されていないところにあると考える。
賃貸住宅においても、美しい空間に住むということが当たり前になれば、心豊かに生きていくことが当たり前の世界になるのではないだろうか。
地方から都会に出てくる若者たち、仕事を変えざるを得なくなり新しい生活を始めることになった人々、子供が大きくなって今いるところが手狭になった親子、どんなに期待に胸を膨らませて新しい住処を探すことだろう。
そんな期待に、住居を提供する側は応えていかなければならないのではないだろうか。
ところで、美しさってなんだろうと考えたときに、それは非常にあいまいで、感覚的なものである。流行の先端、最新のなになにといったものに惑わされるのも事実である。
だが、美しさとは何かと考えたとき、新しいものだけに目を向ける必要はなく、長い年月をかけて培われてきたインテリア様式の中にも答えはたくさんあると気が付かないだろうか。それは洋の東西を問わず、時代を超えて私たちの心を癒してくれるはずである。
フレンチシャビー、プロヴァンス、トスカーナ、北欧、ブルックリン、カントリー、そして和、などなど。
このサイトで紹介する賃貸住宅はそういった長い歴史をもつスタイルを基調としたデザインで作られたものであり、ここにそれらを「スタイルデザイナーズ」と呼ぶことにしたい。インテリアデザイナーの一人として、「スタイルデザイナーズ」が、ともすれば味気なく思われる賃貸住宅を美しく豊かで幸福なものへと変えていく力となることを願ってやまない。